2025/03/26
(Noricoda in 宮通研 ミニ)  皆さんにとって一年の始まりは何月でしょうか。日本は1873(明治6)年に太陽暦を導入してから、1月1日が年の始まりとなりました。しかし、官公庁や学校などは、4月1日を年度の開始日としています。これは明治政府が財政制度を整備するために欧米の会計制度を参考にし、イギリスの会計年度(4月1日~翌年3月31日)に倣い、1886(明治19)年から会計年度を4月始まりに統一したからです。それに伴い教育制度も4月始まりになりました。また、日本では農閑期の春は子どもを学校に送り出しやすい時季でもあったようです。一方、欧米の学校は9月始まりが多いですね。それはヨーロッパの収穫時期が夏で、それが終わった後に学年がスタートしていたことの名残です。昔は、子どもも重要な労働力で、暮らしと年度が密接に関係していたことがわかります。  4月といえば、白一色の世界に花や樹々の色が戻ってくる季節です。昼の時間のほうが長くなり梅が咲けば春の訪れを感じます。桜の開花は新たなスタートを祝福しているかのようです。日本人にとって「春」はまさしく一年のスタートの季節ですね。
2025/02/27
2024年度も残り1か月となりました。2024年度は、新型コロナウイルス感染症の第5類感染症移行から1年経過したこともあり、宮通研の行事を集合型に戻してきました。さらに、コロナ禍の副産物とも言えるオンラインの利便性も残し、ハイブリッド形式で開催してきました。会場に参集し行事に参加することは、幕間のコミュニケーションをとることができ、ひとつの行事を何倍にも楽しむことができますが、会場まで足を運ぶことが容易ではない会員にとってオンライン参加の手段があるのは助かりますね。しかし、ハイブリッド開催は、意外に会場側の設営に手間がかかります。機材の準備設営に尽力してくださった運営委員ならびにみみサポの皆さんに感謝します。  先日、フランスとリトアニアに行ってきました。NPO法人手話教師センターの企画による、ろうの手話通訳者に関する視察のためです。最近、NHK Eテレなどでろう者が手話通訳や演者として登場する番組が増えましたので、皆さんもろう者による通訳場面を目にしたことがあるのではないでしょうか。
2024/12/27
新年のお慶びを申し上げます。 2024年は嬉しい話題の多い一年でした。まず、全通研が創立50周年を迎え、2年前から準備してきた記念事業の集大成として記念式典・祝賀会を開催し、50周年記念誌が発行されました。また、優生保護法訴訟については最高裁判所が旧優生保護法を違憲とし、国に賠償を命じる判決を下しました。その後、優生保護法に基づく賠償法が制定され、遅まきながら被害者に対する補償が進みました。県内に目を向けると、宮通研が「文化の日表彰」を受賞しました。私たちの活動の継続と成果が社会的に認められた証であり、とても誇らしい出来事でした。また、名取市で開催した第75回東北ろうあ者大会・第51回東北地区手話問題研究大会においては、たくさんの方々が実行委員として奮闘され、東北各県から参加した仲間に喜んでもらえる大会を作り上げることができました。 一方で、能登半島地震や国外で長引く紛争など、心の痛む報道も続きました。どの地にも人の暮らしがあり、人は人とともに幸せに生きる権利を有しています。私たちも仲間の存在に力づけられながら、誰かを支える生き方をしたいものです。
2024/12/01
 2024年度は全通研創立50周年の記念すべき年です。全通研では2年前から3つのセクションを設けて50周年記念事業に取り組んできました。記念キャラクターとキャッチコピーの募集に始まり、プレ50周年WASLI韓国ツアー、記念グッズの製作・販売、50周年記念誌の編纂と発行、そして10月に開催された記念式典と祝賀会です。宮通研でも記念グッズや50周年記念誌を販売したり、50周年記念式典を観る会を開催しました。また、全通研設立以前から通訳活動を続けてこられた会員を講師に迎えて、50余年の通訳業界の変遷を共に学び、全通研の果たした功績を共有しました。  このような、節目の年に、宮通研にはさらに嬉しい出来事がありました。宮城県文化の日表彰で保健衛生功労を受賞したのです。設立以来36年間にわたる私たちの活動を認めていただいた証かと思います。とても誇らしく嬉しく思います。また、宮通研を推薦してくださった宮城県聴覚障害者福祉会と担当職員に心から感謝いたします。  宮通研は1988年3月27日の設立総会をもって誕生しました。
WASLIアジア手話通訳者会議 in インドネシア その2
2024/09/27
8月15日~18日、インドネシア・ジョグジャカルタで、WASLIアジア手話通訳者会議2024が開催されました。インドネシアを訪れるのは初めてのことで、文化の違いなど痛感することがありました。  まず、インドネシアは約13,500もの島々からなる世界最大の島しょ国家です。人口は約2.75億人で、インド、中国、米国に次いで世界第4位。総人口の約6割が全国土面積の約7%に過ぎないジャワ島に集中しています。今回アジア会議が開催されたジョグジャカルタも首都ジャカルタもジャワ島にあります。残りの4割が1万3千余りの島々で暮らしています。一つの国とはいえ言語も文化も異なる300もの民族が共存しています。イスラム教を信仰している人が約87.2%で世界最大のイスラム人口を有しますが、イスラム教は国教ではありません。しかし、公的に認められた6つの宗教(イスラム教、キリスト教(カトリック・プロテスタント)、ヒンズー教、仏教、儒教)いずれかへの信仰が必要とされています。ムスリム(イスラム教徒)は一日5回礼拝します。空港では、随所に礼拝室が設けられています。男女別の室内にはメッカの方角を示す印があり、

WASLIアジア手話通訳者会議 in インドネシア その1
2024/09/27
 8月15日~18日、インドネシア・ジョグジャカルタで、WASLIアジア手話通訳者会議2024が開催されました。コロナ禍のステイ期間を乗り越え、今回は会場集合とオンラインのハイブリット型での開催となりました。ジョグジャカルタの会場参加は、16か国・特別行政区から49人(ろう者11人・聴者38人)。オンラインでは5か国から20人の参加がありました。  WASLI(世界手話通訳者協会)の目的は、「ろう団体と連帯し、すべての国に手話通訳者組織を創設し、手話通訳を専門職として確立する」ことです。その目的に向けて各地でさまざまな活動を展開しているわけですが、今回アジアでは16日と17日の二日間で、4つのセッションを行いました。 ◆セッション1「国際手話通訳認定について」(講演・質疑応答) ◆セッション2「手話通訳の養成と資格認定システムについて」(レポート発表) ◆セッション3「手話通訳者協会結成の取り組み」(パネルディスカッション) ◆セッション4「WASLIアジアの現状と課題」(グループディスカッション・全体会)

2024/07/27
 8月15日~18日、インドネシア・ジョグジャカルタで、WASLIアジア手話通訳者会議2024が開催されます。2006年から継続的に開催されている会議です。世界ろう者会議や世界手話通訳者会議が開催される年は、その会期中に行われますが、その間の3年間は、アジアのどこかの国または地域でWFDアジア地域事務局代表者会議とWFDアジア青年部キャンプ、アジア手話通訳者会議を同じ会場で開催してきました。東北ろうあ者大会と東北地区手話問題研究大会が一緒に開催されるのと同じような感じですね。  私は、2018年12月にタイで開催されたアジア会議に初めて参加しました。WFDアジア地域事務局代表者会議のプログラムの中に「Women Group Discussion(アジアろう女性ディスカッション)」という時間がありました。男性をシャットアウトした女性のみ(性転換した人も含む)の会議です。本来ならばろう女性のみが集まる場でしたが、私たち手話通訳者数名は記録のため同席していました。議題は女性部の組織について、ろう女性の権利回復、女性部の会員拡大などでしたが、やはり話題は「権利」に集中しました。
2024/06/01
先日、友人のご両親のダイヤモンド婚式のお祝いがありました。ダイヤモンド婚は結婚60年です。75年になるとプラチナ婚式というそうです。60年間共に元気に過ごしてこられたことはとても素晴らしいですね。20数年の人生で出会ったたくさんの人たちの中から伴侶となる人をひとり選定した理由は何でしょう? それは偶然なのでしょうか、必然なのでしょうか。 宇宙は138億年前のビッグバンにより誕生し、46億年前に地球を含む太陽系が作られたと言われています。その後、地球はドロドロぐちゃぐちゃ熱々の状態の中さまざまな有機物を生成し蓄積していきました。そして、少しずつ海の温度が下がった40億年前、初めての生物であるバクテリアが誕生したと言われています。生命維持のためには水あり、熱すぎず寒冷すぎず、適切な重力がなければなりません。それは太陽と地球の程よい距離によって生まれているそうです。このように、宇宙の誕生は偶然かもしれませんが、生命の誕生はしかるべき条件がそろったことによる必然と言えるかもしれません。さらにバクテリアは種類を増やし、光合成をするバクテリアがせっせと酸素を生成するようになりました。
2024/04/01
年度が改まる春は、出会いと別れの季節です。宮通研から旅立つ人、宮通研に仲間入りしてくれる人の出入りがありますが、ぜひそれぞれの場所で、「全通研」「手話」を合言葉にご活躍いただきたいと思います。毎月皆さんのお手元に届けている『まざらいん』も新年度を迎えるにあたりマイナーチェンジしました。どこが変わったか見つけていただけましたか? はい、そうです。文字をみんなにやさしいUDフォントにしました。運営委員や「まざらいん」編集チームの皆さんの投票によって選ばれたフォントです。新年度も宮通研情報をたくさんお届けできるよう頑張りますので、どうぞお楽しみください。   2020年から3年以上にわたり人々の行動に影響を与えた新型コロナウイルス感染症は、昨年5月に感染症法上第5類に移行となりました。これにより、3年間制限されていた「人々が集まること」に対する規制が緩和され、大学等は対面授業に戻り、各団体の行事も集合形式に戻ってきました。
2024/03/01
「あけましておめでとうございます」と挨拶する間もなく、2024年は大変な年明けとなってしまいました。1月1日に発生した能登半島地震により、亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災されたすべての皆様に心からお見舞い申し上げます。また、被災者の救済と被災地の復旧・復興支援のためにご尽力されている方々に深く敬意を表します。 激しい揺れと津波による被害は、東日本大震災を経験した私たちにとっては、とても他人事とは思えません。被災地のニュースを見るたびに、3.11の記憶が引き出されてしまった方も多いかもしれません。 阪神淡路大震災はボランティア元年と言われるように、全国からボランティアが被災地に結集し支援活動を行いました。聴覚障害者関係では、全日本ろうあ連盟と全通研など関係団体が協力して、被災地に手話通訳者を派遣しました。東日本大震災のときは、厚生労働省の通達により、全国から手話通訳者を被災地に派遣することになりました。宮城に派遣された手話通訳はのべ82人が648日間活動を行いました。

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