2025/08/26
今年の夏も暑いですね。(毎年同じセリフを言っているように思いますが) 宮城県でもうだるような暑さだというのに、なぜか、南方の用務ばかり続き、南方も南方であるマレーシアはクアラルンプールに行ってきました。
クアラルンプールは北緯3.12度と赤道に近く、熱帯雨林気候に属しています。平均温度は28℃前後で、夏は日本よりも涼しいかもしれません。日本との時差は1時間で、羽田空港からクアラルンプール国際空港までの飛行時間は7時間30分くらいです。昨年訪れたインドネシアも他民族国家でしたが、マレーシアも同様で、マレー系(70%)、中華系(23%)、インド系(7%)となっています。言語や文化、宗教もさまざまですが、それぞれを尊重しながら共存している国です。
さて、WASLI(世界手話通訳者協会)は4年ごとに「WASLI Conference(世界手話通訳者会議)」を開催しています。WFD(世界ろう連盟)との取り決めにより、世界手話通訳者会議と世界ろう者会議は、少し日程をずらして同じ都市で開催されます。世界会議の間の3年間は9つに分けられている地域ごとにさまざまな取り組みをしています。
2025/07/31
戦後80年という節目の年を迎えた今夏、改めて平和の尊さを考えています。第二次世界大戦の終結以降、日本は戦火を免れてきました。約90%の国民は戦争を経験していません。しかし、世界ではいまだに多くの人々が戦争や紛争の苦しみにさらされています。開始から3年経ったいまもなお、ロシアの軍事侵攻により、ウクライナでは日々の暮らしが破壊され多くの命が失われています。パレスチナでも、長年にわたる対立と暴力により、子どもたちは平和を知らずに育っています。
戦争は人々の尊厳を奪い、未来への希望を閉ざします。私たち一人ひとりが「遠くの国の話」として無関心でいるのではなく、戦争によって失われる命や生活に目を向け、共に平和を願い、行動しなければ平和は維持できません。人間は言葉を持っています。対話や相互理解を重んじる文化を育み、暴力ではなく協力によって課題を解決する社会を築きたいと声を上げていかなければなりません。世界のあちこちに戦争の悲劇を繰り返さないための博物館やモニュメントが造られています。それらの施設を残した人たちの想いを今一度共有しなければならないのではないでしょうか。
2025/06/27
2025年6月18日「手話に関する施策の推進に関する法律(手話施策推進法)」が成立しました。全日本ろうあ連盟は2010年から手話言語法制定推進事業を開始しました。手話の認知を進め、公私の領域で手話を自由に使用できる豊かな社会の実現を目指して、法整備を求める取り組みを続けてきたのです。『手話でGo』などのパンフレットを発行しては法律の意義や内容を周知し、自治体への働きかけにより、国内すべての自治体議会が手話言語法制定を求める意見書を採択しました。海外に出かけては手話言語法を調査し、国内では手話言語フォーラム等を開催し、手話言語条例制定を働きかけ、世論や国会議員を動かしてきたのです。手話言語法制定推進運動本部が考案した「日本手話言語法案」もありましたが、今回は、議員連盟と共に検討した「手話施策推進法(案)」が第217回通常国会に上程され、可決・成立の運びとなりました。当初希望した名称にはなりませんでしたが、最初の法律案で謳われていた五つの権利(①手話を獲得する ②手話で学ぶ ③手話を学ぶ ④手話を使う ⑤手話を守る)は、手話施策推進法にも盛り込まれています。
2025/05/29
近年、「ダイバーシティ(多様性)」という言葉をよく見聞きするようになりましたね。ダイバーシティとは、一人ひとりが持っている違いを認め尊重しようという考え方のことです。日本人は同質性を好む傾向がありますので、多様性を受け入れることはハードルが高いかもしれません。しかし、私たちはろう者や手話と出会い、ろう者のことを受け入れてきました。まさに自分と異なる人たちや言語を理解し受け入れようとするダイバーシティを実践していると言えます。また、宮通研は会員の属性やバックグランドも多様です。組織の構成員が多様だと、その組織の感性や実行力に幅と奥行きが生まれます。しかし、自分とは異なる意見や異なる行動は直感的に否定しがちです。そのようなとき、イントラパーソナル・ダイバーシティ(個人内多様性)を考えてみてはどうでしょうか。自分自身の中にもいろいろな側面があり、均一ではないことに気づきます。自分で自分の多様性も認めたい。ならば他の人の多様性も認めて、お互いにその力を発揮すれば百四十人力の組織になるのではないか、などと最近にやにやしているところです。
2025/04/25
4月の全通研は全国各地で支部の総会や代議員会ブロック別会議などが開催され、大忙しです。宮通研も4月12日に2025年度定期総会を終え、新しい年度がスタートしました。年度替わりには転入や転出により、宮通研会員にも移動があります。宮城を離れた皆さま、ぜひ移動先の全通研支部でも活動を続けていただきたいと思います。宮城に来られた皆さま、これまでも宮城っ子だった皆さま、新年度も宮通研ライフをお楽しみください。宮通研は会員の皆さまと運営委員が一緒に作っていく会です。どうぞよろしくお願いいたします。
2024年度は全通研創立50周年ということで、50年間を振り返り、50年間を学ぶ行事や話題が多かったと思います。定期総会のあとに行われた特別企画でも、「全通研とわたし(たち)」と題して、全通研と宮通研と皆さんの活動の歴史を振り返る時間をもちました。
ここで、全通研クイズです。全通研の生年月日はいつでしょうか?
答えは、1974年6月3日です。ヒトの妊娠期間は280日(40週)ですが、全通研の妊娠期間は2年間ありました。ゾウ並みです。・・・
2025/03/26
(Noricoda in 宮通研 ミニ)
皆さんにとって一年の始まりは何月でしょうか。日本は1873(明治6)年に太陽暦を導入してから、1月1日が年の始まりとなりました。しかし、官公庁や学校などは、4月1日を年度の開始日としています。これは明治政府が財政制度を整備するために欧米の会計制度を参考にし、イギリスの会計年度(4月1日~翌年3月31日)に倣い、1886(明治19)年から会計年度を4月始まりに統一したからです。それに伴い教育制度も4月始まりになりました。また、日本では農閑期の春は子どもを学校に送り出しやすい時季でもあったようです。一方、欧米の学校は9月始まりが多いですね。それはヨーロッパの収穫時期が夏で、それが終わった後に学年がスタートしていたことの名残です。昔は、子どもも重要な労働力で、暮らしと年度が密接に関係していたことがわかります。
4月といえば、白一色の世界に花や樹々の色が戻ってくる季節です。昼の時間のほうが長くなり梅が咲けば春の訪れを感じます。桜の開花は新たなスタートを祝福しているかのようです。日本人にとって「春」はまさしく一年のスタートの季節ですね。
2025/02/27
2024年度も残り1か月となりました。2024年度は、新型コロナウイルス感染症の第5類感染症移行から1年経過したこともあり、宮通研の行事を集合型に戻してきました。さらに、コロナ禍の副産物とも言えるオンラインの利便性も残し、ハイブリッド形式で開催してきました。会場に参集し行事に参加することは、幕間のコミュニケーションをとることができ、ひとつの行事を何倍にも楽しむことができますが、会場まで足を運ぶことが容易ではない会員にとってオンライン参加の手段があるのは助かりますね。しかし、ハイブリッド開催は、意外に会場側の設営に手間がかかります。機材の準備設営に尽力してくださった運営委員ならびにみみサポの皆さんに感謝します。
先日、フランスとリトアニアに行ってきました。NPO法人手話教師センターの企画による、ろうの手話通訳者に関する視察のためです。最近、NHK Eテレなどでろう者が手話通訳や演者として登場する番組が増えましたので、皆さんもろう者による通訳場面を目にしたことがあるのではないでしょうか。
2024/12/27
新年のお慶びを申し上げます。
2024年は嬉しい話題の多い一年でした。まず、全通研が創立50周年を迎え、2年前から準備してきた記念事業の集大成として記念式典・祝賀会を開催し、50周年記念誌が発行されました。また、優生保護法訴訟については最高裁判所が旧優生保護法を違憲とし、国に賠償を命じる判決を下しました。その後、優生保護法に基づく賠償法が制定され、遅まきながら被害者に対する補償が進みました。県内に目を向けると、宮通研が「文化の日表彰」を受賞しました。私たちの活動の継続と成果が社会的に認められた証であり、とても誇らしい出来事でした。また、名取市で開催した第75回東北ろうあ者大会・第51回東北地区手話問題研究大会においては、たくさんの方々が実行委員として奮闘され、東北各県から参加した仲間に喜んでもらえる大会を作り上げることができました。
一方で、能登半島地震や国外で長引く紛争など、心の痛む報道も続きました。どの地にも人の暮らしがあり、人は人とともに幸せに生きる権利を有しています。私たちも仲間の存在に力づけられながら、誰かを支える生き方をしたいものです。
2024/12/01
2024年度は全通研創立50周年の記念すべき年です。全通研では2年前から3つのセクションを設けて50周年記念事業に取り組んできました。記念キャラクターとキャッチコピーの募集に始まり、プレ50周年WASLI韓国ツアー、記念グッズの製作・販売、50周年記念誌の編纂と発行、そして10月に開催された記念式典と祝賀会です。宮通研でも記念グッズや50周年記念誌を販売したり、50周年記念式典を観る会を開催しました。また、全通研設立以前から通訳活動を続けてこられた会員を講師に迎えて、50余年の通訳業界の変遷を共に学び、全通研の果たした功績を共有しました。
このような、節目の年に、宮通研にはさらに嬉しい出来事がありました。宮城県文化の日表彰で保健衛生功労を受賞したのです。設立以来36年間にわたる私たちの活動を認めていただいた証かと思います。とても誇らしく嬉しく思います。また、宮通研を推薦してくださった宮城県聴覚障害者福祉会と担当職員に心から感謝いたします。
宮通研は1988年3月27日の設立総会をもって誕生しました。
2024/09/27
8月15日~18日、インドネシア・ジョグジャカルタで、WASLIアジア手話通訳者会議2024が開催されました。インドネシアを訪れるのは初めてのことで、文化の違いなど痛感することがありました。
まず、インドネシアは約13,500もの島々からなる世界最大の島しょ国家です。人口は約2.75億人で、インド、中国、米国に次いで世界第4位。総人口の約6割が全国土面積の約7%に過ぎないジャワ島に集中しています。今回アジア会議が開催されたジョグジャカルタも首都ジャカルタもジャワ島にあります。残りの4割が1万3千余りの島々で暮らしています。一つの国とはいえ言語も文化も異なる300もの民族が共存しています。イスラム教を信仰している人が約87.2%で世界最大のイスラム人口を有しますが、イスラム教は国教ではありません。しかし、公的に認められた6つの宗教(イスラム教、キリスト教(カトリック・プロテスタント)、ヒンズー教、仏教、儒教)いずれかへの信仰が必要とされています。ムスリム(イスラム教徒)は一日5回礼拝します。空港では、随所に礼拝室が設けられています。男女別の室内にはメッカの方角を示す印があり、