50年の絆その先へ 歩み続ける全通研

年頭にあたり、新年のご挨拶を申し上げます。

 

日本漢字能力検定協会は毎年「今年の漢字®」を募集し、12月12日に発表しています。2023年の第1位を獲得した漢字は「税」でした。2014年に続いて2回目の第1位とのことです。一年を通して「税」に関する話題が多く、生活に直結している問題でもあり関心度が高かったことと思います。

物価高騰の背景には、海の向こうの戦乱があります。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻はいまだ収束の気配をみせず、さらに10月にはハマスとイスラエルの戦闘が始まりました。新型コロナウイルス感染症の不安に続き、世界は有形無形の不安におびえているように思います。辰年は政治上の大きな変化が起こる年と言われています。2024年はぜひ良い大きな変化が起きることに期待したいものです。

 

全国手話通訳問題研究会は創立50周年を迎えます。1974年に誕生した全通研は、一貫して「聴覚障害者福祉の向上と手話通訳者の社会的地位の向上」を目指して活動を続けてきました。会員287名で設立した全通研は、いまや1万人弱の仲間とともに活動する団体となりました。手話通訳について各人の経験と考えを持ち寄り、科学的に整理し、倫理をまとめ、仲間を増やしてきました。ともに学び、意見を交わす仲間が増えることにより、多角的な考えを共有することができ、社会に訴える力を持つことができます。50年の間には、手話通訳の状況も大きく変化してきました。近年は、テレビで手話通訳を目にすることも増え、ろう者や手話関係の映画やテレビ番組も増えました。手話をかっこいい言語だと評する声も聞かれます。法整備や各地で制定された手話言語条例なども追い風になっているかと思います。社会を動かすのは人です。全通研は、会員の成長という内向きの活動と、社会に働きかける外向きの活動を並行していきます。そして、コミュニケーションという人間固有の権利を執行することで、世界にまん延する不安に立ち向かいたいと思います。

4月からは50周年記念グッズの販売が始まります。また、2024年度の全会員に50周年記念品のプレゼントがあります。ぜひ、50周年を共に祝い、一緒に次の歴史を作っていきましょう。

 

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 会長  宮澤典子