6月13日(土)全通研東北ブロック研修会が開催されました。今年は会場に参集することができるかという期待もありましたが、やはり新型コロナウイルス感染防止の観点から、昨年に続きオンラインによる研修会となりました。それでも110名もの参加があり、オンラインによる参加しやすさが現れていると感じました。県をまたぐ移動の不安や移動時間や経費等の負担を考えれば、オンラインは確かに便利です。また、ネット環境にない会員のためには、各支部で集団視聴会場を準備し、参加しやすい環境づくりも行いました。
研修会のテーマは「コロナ禍における手話通訳者の現状」で、行政の立場、設置通訳者の立場、登録手話通訳者の立場などから日々の取り組みの様子が報告されました。また、全通研のコロナにたいする取り組みの報告もありました。パネラーもそれぞれの居住地からの登場です。通訳は、パネラーと同じ支部の方が担当しました。
自治体窓口では、相談のための窓口来庁者が増えているそうです。コロナ感染防止やワクチン接種など、聞きたいことは設置通訳者に聞くという関係が構築されているのですね。また、窓口対応のための透明マスクを作ったり、聴覚障害患者の入院に備えて、医療機関向けのコミュニケーション支援ぼボード作成など、さまざまな工夫がなされているようです。また、コロナ受診のため遠隔手話通訳を導入したところも多いようです。今のところコロナ感染(または疑い)の受診で使用された例はないようで何よりですが、他領域で遠隔手話通訳の利用は拡大しているそうです。また、最近ではワクチン接種にかかる手話通訳配置の問題があります。集団接種会場に設置通訳者や登録通訳者を派遣することが多いようですが、大規模接種会場では、遠隔手話通訳が外部委託されているケースもあります。
コロナ禍で大きく変化したことのひとつに、首長会見に手話通訳が付くようになったことがあります。設置通訳者が担っているところや登録手話通訳者を派遣しているところなどさまざまですが、これはやはり当事者団体と通訳者団体による要望活動の成果と言えます。緊急会見時の通訳手配は大変な苦労かと思いますが、せっかくの成果を後退させることがないよう、今後も「必要!」アピールを続けることが大切です。また、通訳者とろう者が一緒にコロナ関連用語の手話表現を確認するという取り組みもあるようです。通訳利用者の声を聞くのはとても大切なことです。さらにリアルタイムの通訳ではありませんが、収録型の番組では、ろう者が翻訳するケースも見られるようになりました。ネイティブサイナーの翻訳はろう者にはとてもわかりやすいものだと思います。命を守る大切な情報は、より理解しやすいかたちで提供されるといいですね。
一方、コロナ禍のため行事や会議がのきなみ中止となり、通訳派遣件数が減少したという問題もあります。登録通訳者の所得にも関わりますが、聴覚障害者の社会参加が制限されたという見方もできます。これまでのように会場に集合して対面で通訳ができるに越したことはありませんが、そうするとまたマスク問題が浮上します。反射せず、汗をかかない透明マスクが開発されないものかと思います。
行事等の派遣は減少したものの、医療機関受診の通訳派遣は依然として多いと思います。通訳者自身も不安を抱えながら現場に向かっていることと思いますが、派遣する側も申し訳なさと戦いながら依頼しているのでしょう。通訳の皆さんには頭が下がります。
65歳以上のワクチン接種が始まりました。地域によっては、65歳未満の方や福祉施設従事者の接種や、職域接種も始まっているようです。ワクチン接種者が増えれば、少しはコロナウイルスに対抗できるのではないかと期待されますが、一方で感染力の強い変異株の発生も報道されています。なかなかコロナ発生前の活動形態に戻れそうにありません。今後の学習会はしばらくオンラインの形態になりそうです。
7月25日(日)今年度第1回目の宮通研学習会が開催されます。今回は、集合会場は設けずオンラインのみになります。タイムリーな「手話言語条例」に関する講話もありますし、手話通訳士班担当の実技講座も企画されています。パソコンがなくても、タブレットやスマートフォンでも参加できますので、ぜひお手持ちの端末にZoomをダウンロードしてご参加ください。(今月号に同封のチラシをご覧ください)
学習会でお会いしましょう。
会長 宮澤典子