ステイホームを活かして成長を!

さくらが花から若葉に姿を変え、菜の花やはなみずきが咲きそろい、ゆずりはなどの木々も若葉をのぞかせるようになりました。人々が新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出を自粛しているうちにも、花や樹木は粛々と季節の変化を体現して自然の偉大さを知らせてくれます。

 

3月に新型コロナウイルス感染拡大防止対策が始まってから1か月以上になります。効果はなかなか現れず、感染が確認された人の数が急増しています。4月7日には東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に緊急事態宣言が発令されました。さらに4月16日には、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6つの道府県を加えた13都道府県を特定警戒都道府県となり、緊急事態宣言の対象が全都道府県に拡大されました。5月6日までは不要不急の外出や都道府県をまたいでの移動は控えるようにと要請されています。また、集会・イベントの開催自粛に加え、大学や遊興施設などの休業要請も出されています。さまざまな店舗が営業時間を短縮するなど、社会活動への影響が大きくなってきています。

 

テレビをつければ、新型コロナウイルス関連のニュースばかりです。政府はもちろん各都道府県知事の会見なども多く見られるようになりましたが、手話通訳の姿は見えません。そこで、全日本ろうあ連盟と全通研、日本手話通訳士協会の三団体は3月6日「感染症に関わる医療場面における手話通訳についての見解」を発表し、(1)聴覚障害者の情報保障の必要性、(2)手話通訳者の感染防止の必要性、(3)事前情報提供の必要性について訴えました。また、各地域のろう団体や関係団体が自治体に働きかけ、知事の会見に手話通訳がつくようになりました。通訳の位置もワイプ内や知事の横などさまざまですが、それぞれ検討しながら一歩一歩前進しているようです。さらに手話通訳者だけがマスクなしで登場することに対して国民から反応があり、最近は手作りの透明マスクを着用したり、知事のすぐ後ろにモニターを置いて、別室で手話通訳している通訳者を映すなど、たくさんの人たちが知恵を出し合って状況を変えようとしています。これらのことから国民の目に触れることがとても大切だということがわかります。

 

集会やイベントの開催自粛を受けて、例年開催されている「耳の日記念手話まつり」も中止となりました。全日本ろうあ連盟は2020年度一年間の主催行事を中止することを決めました。全通研も例年5月に開催していた全国代議員会を10月に延期し、全国手話通訳問題研究集会サマーフォーラムinいしかわや全通研アカデミーなどを中止することにしました。

全通研東北ブロックは、4月に予定していたブロック代議員会を書面決議の方法に変更しました。宮通研でも定期総会を中止し、議案については書面決議にしました。今回の『まざらいん』に2020年度定期総会議案書と決議の方法が同封されています。ぜひ皆さんの意思をお知らせください。

 

さて、集会が規制されていることから、最近はオンライン会議やオンライン授業が活用されています。私の学院でも、4月6日新学期初めての授業を終えたところで緊急事態宣言が発令され、翌日から4月18日までは休校となりました。そして4月20日からオンラインで授業を再開しました。オンライン授業に参加するためには、カメラ・マイク機能付きの端末(パソコン・タブレット・スマートフォンなど)とインターネットに接続できる環境が必要です。スマホはあるがパソコンはないとか、インターネット回線の使用容量の上限があるなど、学生たちの環境はさまざまです。オンライン授業開始前の休校中に、環境整備をしたり使用方法を学んだりと学生たちもがんばりました。その甲斐あって、実際にオンライン授業が始まってからは、思ったよりもスムーズに授業が進んでいます。学生だけではなく、非常勤講師もガラケーに別れを告げスマホデビューしたり、改めてパソコンの使い方を学んだりと、ICTを活用し始めた先生も少なくありません。

全通研理事会や東北ブロック役員会もオンライン会議を導入しました。初めてのときは、音が聞こえないとか、顔が出ないなど四苦八苦する場面もありましたが、一度経験すると2回目からは楽々です。

また、全通研自治体政策委員会では、メーリングリストを通して、各地域の状況について情報交換を始めました。先進的な取り組みが紹介されると、それを別の地域が参考にして状況を改善していくというサイクルが生まれています。

 

日本で全日本ろうあ連盟と全通研や日本手話通訳士協会の三団体が国に働きかけを行っているように、世界ろう連盟(WFD)と世界手話通訳者協会(WASLI)は共同声明を発表しWHOに働きかけ、各国の仲間たちを応援しています。これらは各団体のHPでもご覧いただけます。ぜひ確認してみてください。

新型コロナウイルスは私たちの生活に大きな不安と制限を与えていますが、新たなスキルを身につける機会も提供してくれたように思います。そして、社会に対する要望とそれを受けて変化する様子をはっきり確認できる機会も与えてくれたと思います。少しずつICTのスキルアップに取り組みながら、しばらくは「ステイホーム」を合言葉に健康第一で過ごしましょう。 

 (会長  宮澤典子)